家を建てる際、気になるのは「費用はいくらか」「予算はどのくらい必要か」「その金額でどんな家が建つのか」といった点ではないでしょうか。
実際の予算は、建築エリアや依頼する会社によって大きく異なります。それぞれの企業が異なる考え方を持っており、選択肢もさまざまです。
また、多くの方が住宅ローンを利用しますが、「いくら借りられるのか」「頭金はどの程度必要か」も重要なポイントです。
この記事では、弊社の事例を交えながら、家づくりの相場感や予算・費用を考える際のポイントについて詳しく解説します。
家の価格の内訳
新築のマイホームを建てる際にかかる費用は、大きく以下の3つに分けられます。(建築後のメンテナンス費用は含みません。)
- 土地代(購入する土地の費用)
- 建物代(家の設計・施工にかかる費用)
- 諸経費(登記費用、税金、手数料などの付帯費用)
これらを合計したものが「家の価格」となります。
この費用をどのように支払うかを考え、住宅ローンの借入額や自己資金を決めることで「予算」が決まります。
理想的な予算とは「自己資金+無理なく返済していける借入金額」の合計
多くの住宅会社は、
「総予算 = 自己資金 + 総借入可能金額(主に住宅ローン)」
と考えます。しかし、この考え方にはリスクが伴い、必ずしも最適とは言えません。
現在の日本経済は、かつてのような右肩上がりの成長を続けているわけではなく、少子高齢化による人口減少社会に突入しています。そうした状況の中で、例えば40歳で35年ローンを組めば、完済は75歳。定年後も長期間にわたる返済が必要になります。
家を購入する理由は人それぞれですが、購入後の生活が続いていくことに変わりはありません。病気や転職、家族の変化など、予測できない出来事も起こり得ます。こうした未来のリスクを考えたとき、家を建てた後も安心して生活できるよう、「無理のない資金計画」を立てることが非常に重要です。
つまり、家を建てるための予算は、
「総予算 = 自己資金 + 無理なく返済できる借入金額」
であるべきです。単に「借りられる額」ではなく、「返し続けられる額」に目を向けることが、将来の生活を守るポイントになります。
家づくりは、安心して暮らせる未来をつくるために
住宅購入は「リスクを覚悟して挑むもの」ではなく、「安心して暮らせる家を手に入れ、老後の不安もなく生活できるようにするもの」 です。今だけでなく、将来の家計も見据えた資金計画を立て、無理のない家づくりを進めていきましょう。
土地の購入にかかる費用
土地を購入する際には、主に以下の費用がかかります。
- 手付金(物件価格の5%~10%)
- 残代金(物件価格 - 手付金 - 住宅ローン借入金)
- 諸費用(印紙税、仲介手数料の半額 など)
特に重要なのが土地の価格ですが、これは場所によって大きく異なります。
同じ地域でも、主要駅に近いほど高くなり、郊外へ行くほど価格は下がる傾向があります。立地条件や周辺環境を踏まえ、予算と希望に合った土地を選ぶことが大切です。
建物にかかる費用
家を建てる際にかかる主な費用は、「土地」と「建物」の二つです。
建物の費用は、住宅会社や仕様によって大きく異なるため、一概にいくらとは言い切れません。そこで、参考として床面積に対する土地の価格の目安をご紹介します。
床面積 | 建築費(土地代含まず) | |
全国 | 約129.3m2 | 約3308万円 |
首都圏 | 約127.2m2 | 約3593万円 |
近畿圏 | 約130.5m2 | 約3436万円 |
東海圏 | 約132.0m2 | 約3405万円 |
相模原地域 | 約120m2 | 約3000万円(当社調べ) |
あくまで平均的な目安であり、具体的な金額は住宅会社によって異なります。
たとえば、1,000万円台で建てられる住宅もあれば、5,000万円を超える高級住宅もあります。どの住宅会社を選ぶかは、前述の予算の考え方によって変わってくるでしょう。
ちなみに、相模原周辺の住宅会社では、建物の価格は3,000万~4,000万円程度が一般的な相場です。このくらいの予算を確保できれば、こだわりの詰まった理想の住まいを実現しやすくなるでしょう。
関連する費用
家づくりでは、建物本体の工事以外にもさまざまな工事が必要になります。
代表的なものとしては、外構や庭などのエクステリア工事があります。また、家具の購入や特別な内装を施す際には、インテリア費用も必要です。
これらの費用は、ほとんどの場合、家づくりの予算に組み込んでおくべき基本的な費用となります。
解体やリフォームが必要な場合
家や土地を受け継ぐケースもありますが、その場合は既存の建物をリフォームするか、建て替えるかを検討する必要があります。
リフォームを行う場合はリフォーム費用がかかり、建て替える場合は新築の建築費用に加えて、解体工事費用が発生することもあります。
解体工事費用とは、既存の建物を取り壊すための費用を指します。具体的には、足場を組んで建物を解体するための工事費や、周囲への影響を抑えるための防音・防塵シートの設置費などが含まれます。これらの費用も、計画の段階でしっかり考慮しておくことが大切です。
特殊な土地の場合
購入した土地が狭小地や高低差のある敷地など、特殊な形状をしている場合、そのままでは家を建てられないため、造成工事が必要になることがあります。
造成工事には、地盤を整えるための整地費用や、盛り土が崩れないように支える「擁壁(ようへき)」の設置費用などが含まれます。
ただし、このような土地は一般的な相場よりも割安になっていることが多いのも特徴です。適切に造成を行えば、十分に住みやすい環境を整えることができるだけでなく、土地の形状を活かした個性的な住まいを実現できる可能性もあります。

この写真にある家は、実際に坂道を活かして建築した建物です。
坂の上にある表側は平家風の外観。坂の下にある裏側は、2階建になっています。
基礎補強工事関連費用
家を建てる前に、土地の強度が十分かどうかを確認するための地盤調査が行われます。
もし地盤調査の結果、土地が軟弱だと判定された場合は、地盤補強工事が必要となります。
補強工事には、地表面にセメント系の材料を混ぜて固める「地盤改良工事」や、固い地盤に到達するまで深く杭を打つ「杭打ち工事」などが含まれます。
これらの費用も、家を建てるための予算に組み込まれる必要があるため、事前にしっかり確認しておくことが重要です。
諸経費について
家を購入する際、意外と見落としがちで、かつしっかりと検討しておくべきなのが諸経費です。これらは、予算に余裕を持って取り組むことをお勧めします。
諸経費には、次のような項目が含まれます:
- 不動産取得税や印紙税などの税金
- 保険
- 銀行への手数料
- 家電
- 家具
- 照明器具
これらの費用を予算に含めていないと、家を建てた後に、家具や家電を揃えることができないという事態に陥ることがあります。こうした問題を防ぐためにも、諸経費は予算の13%~15%程度として計算しておくことが理想的です。
ただし、この割合は住宅会社によって異なる場合があります。中には、諸経費が5%程度と考える会社もあります。この差は、各社の提案や考え方の違いに基づいていますので、契約前にしっかり確認することが大切です。
家を建てるために必要な税金関係
登録免許税について
家づくりにあたり、法務局に対して「登記」の申請を行いますが、この時にかかる税金が「登録免許税」です。
家を建てた場合には、所有権保存登記や抵当権設定登記にかかる登録免許税が発生します。これらの税金は、家の取得費用や住宅ローンの借入額に基づいて計算されます。具体的な金額は固定資産税評価額やローン借入額に依存し、一般的に約**0.1%**ほどです。
例えば、固定資産税評価額が2000万円の家を建て、2500万円の住宅ローンを借りた場合、登録免許税は次のように計算されます:
- 2000万円×0.1%=20,000円
- 2500万円×0.1%=25,000円
合計45,000円が登録免許税となります。
印紙税
家づくりにあたり、“建築工事請負契約書”や“金銭消費貸借契約書”を建築会社や銀行と結びます。
これらの契約書を作成する場合に「印紙税」が課せられ、契約書に収入印紙を貼り納付します。
印紙税の計算は契約金額に応じて異なります。以下は、住宅の契約やローン契約に関連する印紙税額の一部です。
1. 建築工事請負契約書にかかる印紙税(契約金額別)
- 500万円超~1,000万円以下:5,000円
- 1,000万円超~5,000万円以下:10,000円
- 5,000万円超~1億円以下:30,000円
2. 住宅ローンの金銭消費貸借契約書にかかる印紙税(契約金額別)
- 500万円超~1,000万円以下:10,000円
- 1,000万円超~5,000万円以下:20,000円
- 5,000万円超~1億円以下:60,000円
これらの金額は、契約書に必要な印紙税の額を示しています。具体的な税額については、契約金額を基に適切に計算する必要があります。
参考: 国税庁「印紙税」
不動産取得税
家を新築するなど、不動産を取得したときに課税されるのが「不動産取得税」です。不動産の価格に、一定の税率をかけて計算します。
不動産取得税は、建物や土地に対して「課税標準額」を基に税率を掛け算して計算されます。この「課税標準額」は、固定資産税評価額から一定の控除額を引いた金額です。新築住宅の場合、基本的な控除額は1200万円ですが、長期優良住宅などの特別な認定を受けた建物には、控除額がさらに大きくなることがあります。
不動産取得税の税率(原則)
- 宅地:評価額 × 4%
- 住宅:評価額 × 4%(軽減措置あり)
- 宅地:評価額 × 1/2 × 3%
- 住宅:評価額 × 3%
このように、住宅や土地の種類によって、税率や控除額が異なることを理解しておくことが重要です。
このほか、親や祖父母から住宅資金を出してもらう場合には、贈与税が発生することがあります。
税金関係については、「軽減措置」が都度発表されているので、建てる時にはチェックするようにしてください。
ハウスメーカーか工務店か
家づくりを進めると必ず直面するのが、「ハウスメーカーにするか、工務店にするか?」という選択です。TVCMでよく見かける大手ハウスメーカーと、名前はあまり知られていないけれど、個性的でこだわりのある家を建てている工務店。このどちらで家を建てるのが良いのか、多くの方が悩むポイントです。
予算面での違い
まず、予算についてですが、ハウスメーカーの方が工務店よりも坪単価が高くなる傾向があります。これは、ハウスメーカーが多額のコストをかけて集客や運営を行っているためです。
例えば、ハウスメーカーはTVCMや大規模な広告宣伝を行い、ブランドの認知度を高めますが、そのために数千万円単位の予算が必要です。これに対して、工務店は通常、年間数十棟程度の受注規模なので、広告にかける予算が限られています。
また、社員数も異なります。ハウスメーカーでは何百人規模のスタッフが細かく分業されており、業務が効率的に回る仕組みが整っています。一方、工務店は数十人規模で、営業担当が設計やお客様対応も兼務していることが多いです。
ハウスメーカーはこうしたコストを家の予算に組み込むため、結果として坪単価が高くなりがちです。一方、工務店はこれらのコストが抑えられるため、予算的には安く済むことが多いです。
強みに特化した工務店と幅広く対応するハウスメーカー
工務店の特徴は、「1つの強み」に特化している点です。ハウスメーカーは、基本的に何でも対応可能ですが、工務店は得意分野が明確に分かれています。
例えば、弊社の場合は「健康に配慮した家づくり」に強みを持っており、健康に悪影響を与える材料は使わないというポリシーがあります。そのため、お客様が「安くしたいから別の材料を使いたい」と頼んでも、その要望には応えられない場合があります。
工務店で家を建てる場合、その会社が得意とする分野が自分の理想と一致しているかどうかを確認することが重要です。
世代ごとの資金計画の実例
これまで弊社で提案した「40代会社員の方」がどのような資金計画を立てられたか紹介していきます。
40代・Aさんの場合
家族構成
- 夫(42歳 会社員) 年収700万円
- 妻(39歳 パート) 年収100万円
- 長男(12歳)
- 長女(9歳)
自己資金1000万円
相談内容
家と土地で4000万円の物件を自己資金1000万円、35年返済で購入しようと考えている。
返済期間中に退職を迎えてしまうため、できれば返済期間を少し短くしたい。
提案と資金繰り
返済期間を短くする方法として、「繰り上げ返済」を提案。
具体的な方法として、下記を提案いたしました。
- 自己資金割合を増やし
- 借入金額を減らし
- 返済割合を減らすことで
- 繰り上げ返済分への割り振りを増やす
自己資金を増やす方法としては、可能であればご両親からの援助が最適です。
もし、無理であれば、購入予定の土地や建物の計画を見直すことをお勧めしました。
このケースでは、借入金額が3000万円なので、もし、300~500万円ほど抑えることができれば、返済計画にも余裕が生まれることでしょう。
予算については、専門家へ相談することもオススメします
家を建てるために借入やローンを組む際、収入と自己資金の割合や返済方法について「ファイナンシャルプランナー」に相談することをお勧めします。ファイナンシャルプランナーは、目先の資金計画だけでなく、将来のライフプランを考慮し、そのために必要な計画を立てるサポートをしてくれる専門家です。
また、いくつかの住宅会社では、信頼できるファイナンシャルプランナーを紹介してくれる場合もあります。予算について不安がある場合は、ぜひ一度相談してみると良いでしょう。
まとめ
これまで述べてきたように、家を建てるための予算や費用は、住宅会社によって大きく異なります。同じ土地や間取りであっても、使用する素材や性能によって建物の金額は大きく変わります。
また、予算に関しても、「返済計画をしっかり考慮して余裕を持たせて提案する会社」や「建物を豪華にすることを優先する会社」など、各社の方針には違いがあります。営業担当者によって提案内容が異なることもあるかもしれません。
大切なのは、家を建てることが「建てた後の生活」のためであるという点です。これから家を建てようと考えている方は、この視点を忘れずに住宅会社に相談してください。
何を重視すべきかが明確になり、予算の使い方に最適な方法が見つかることでしょう。